2015年5月19日火曜日

脳みそ編 その1

ボクサーならば、誰もが一度は心配した事があるのが脳みそへのダメージ。こればっかりは、他人ごとでは、すまされない。何故なら、毎回首から上にパンチをもらうたびに、何らかのダメージがあるからだ。これは、プロ、アマに限らずにだ。俺は、ヘッドギアーをしているから大丈夫だ、などと思っているのが一番怖い。覚えているだろうか、人生初めてのスパーリング。そして初めて、まともに喰らった右ストレート。当初は、アドレナリンが、ガンガン出まくり、物凄い興奮状態だったにちがいない。もっぱらそのアドレナリンが出まくってる状態ならば、多少の痛みは、感じないが、スパーリングを、終えてからが大変だ。鼻や目もそうだが頭痛が物凄く酷いときがあったに違いない。これは、確実に脳へのダメージがあったからだ。毛細血管がプチプチと切れたにちがいない。意識はあるものの、脳震とうによって頭がボーとしたりと、まあ色んな経験をしたでしょう。フック、アッパーカット、ストレートなんて感じにパンチをもらい、脳みそ揺らされて、まともな訳がない。パンチドランカーになったボクサーの名前をここにあげても、きりがないほどだ。正直言って今、ボクシングをやっている者は、みな、パンチドランカー予備軍と言っても過言ではない。あのパウンドフォーパウンドのフロイド・メイウエザーJrでさえも脳みそへのダメージを、極ろく避けるボクシングスタイルで戦っている。そしてあのモハメド・アリの、ロープを背に、相手の猛攻撃を受け、相手が疲れた後に反撃する作戦にも、否定的な態度をとっている。ここで言いたい事がある。よくジムによっては、「根性」「忍耐力」「精神力」などを、謳い文句の様にしているところがあるが、そういうのは、どうかと思ってしまう。仮にあなたのジムの選手がノックダウンされたとします。そこで、「こら~根性だ~!」「おまえの忍耐は、それまでか~!」などと怒鳴ったところで、駄目なものは、だめなのです。選手だって、それはもう必死だろうし、誰だって負けたくありません。10カウント内で立てないものは、立てないのです。それよりも選手の健康を考えるべきなのです。選手も人間、ボクシングを辞めた後も人生は、まだあるわけですから。